先見的にレジリエンスを築くマイクログリッド
Burns & McDonnellはカンザスシティに本社を構えながら、世界中のプロジェクトを引き受けています。同社の創業者であり社名の由来であるBurnsとMcDonellの2人が米国中西部で上下水道や照明に関するプロジェクトに従事し始めたのは1900年代初頭のことであり、当時から取引を続ける顧客を多数抱えます。その中の一社であるLiberty Utilitiesは電気、水道、ガスの公益事業を全米で営んでいます。
山火事の主な原因には、強風、落雷、放火や失火、機器の故障などがあります。電力会社は、特定の基準に到達すると送電線を遮断することがあります。
マイクログリッドの名称で知られる素晴らしいソリューションは通常、太陽光パネル、蓄電池、バックアッププロパン、ディーゼル発電からなる電源です。メイングリッドからの配電線が電気供給を停止すると、マイクログリッドは、影響を受けた地域での火災警報のリスクを軽減しながら、配電線の末端の顧客に電力を供給できます。
2020年初頭、Burns&McDonnellに、Liberty Utilitiesからカリフォルニア州トラッキー周辺の顧客に電力供給している遠隔配電線の末端への再生可能マイクログリッドの設置に関する支援依頼がありました。マイクログリッドの設置予定場所には年間平均で約17フィートの雪が降ります。
新型コロナウイルス感染症拡大による停滞
Liberty UtilitiesとBurns& McDonnellは、2020年2月にマイクログリッド建設のための提案依頼書を公開しました。その数週間後、新型コロナウイルスの世界的大流行からカリフォルニア州はロックダウンに突入しました。Burns& McDonnellのエンジニアリングマネージャー、Skyler Wills氏は次のように述懐します。「遠隔地のプロジェクトだったため、入札者は概観をまったく把握できませんでした。ストリートビューもないような地域でした」
Liberty Utilitiesは2020年末までにマイクログリッドを設置したいと考えていましたが、再び大雪になる前に入札者が現場を見て工事を終わらせられないと、設置は丸1年遅れることになると危惧しました。この問題を解決するため、Burns & McDonnellはLiberty UtilitiesにコンタクトしてMatterportの使用を提案しました。Liberty UtilitiesはLeica BLK 360カメラとMatterport Captureアプリを使って、マイクログリッドを設置する現場全体をスキャンしました。3Dスキャンを使って入札者にとって重要な詳細について注釈を付け、何マイルも続く連絡道路の動画を追加し、"バーチャル現場見学"のスケジュールを設定しました。
Matterportのバーチャル現場見学
Burns & McDonnellのマーケティングチームは、Matterport 3Dツアーをホストするランディングページを作成し、そのリンクをすべての入札者に送りました。入札者はバーチャルに現場を「見学」し、見学中質問することができました。
「入札会社の代表として現場に行けるのは、通常1人か2人だけです」とWillis氏は言います。「Matterportが優れているのは、企画、設計、資材購入、現場での機器の組み立てなど、プロジェクトに関わるすべての人が現場を見ることができる点です。また、現場を見学した後で再び戻って参照することもできます」入札者が見学や寸法を測るために再訪し、その下請け業者も同様であったため、Burns & McDonnellのサイトページは3週間というものトラフィックが途絶えることがありませんでした。
「このスキャンにはかなり細かい部分が取り込まれていましたが、拡大してじっくり確認できました」とLiberty Utilitiesで土地測量士を務めるRandy Meyer氏は説明します。「例えば、排水のために縮小が必要な排水溝や既存の電気設備が見て取れました。これらはいずれも設計段階で必要となる情報です。従来の地形測量図も作成しましたが、3Dとは全く違います。Matterportのスキャンに基づき大幅な調整を行い、設計を改良することができました」
第三者も関わる今回のプロジェクトでは、入札以降もMatterportのスキャンが引き続き役立ちました。マイクログリッドの設置場所は、プロジェクトの重要なパートナーであるカリフォルニア大学バークレー校の施設の近くにあります。また、タホ国有林内でもあるため、同様に重要な関係者であるトラッキー・レンジャー地区からの承認が必要でした。
「Matterportのスキャンを多数の関係者と共有することで、当社が必要としているもの、さらに建設開始前の現地の状態を伝えられ、全員から承認を得ることができました」とWills氏。
コロナ禍においても、ロックダウンや冬季の厳しい環境を考慮し、プロジェクトはスピード感を持って進められました。
「1年分の時間を節約できました。Matterportの製品がなかったら、プロジェクトは確実に遅れていたでしょう」と同氏は振り返ります。
業界を未来へと先導
バーチャル現地訪問に参加した入札者は最後にアンケートに回答してくれました。反響は非常に好意的なものであり、新型コロナウイルス関連の規制の解除後も今後の入札にMatterportのスキャンを使用したいと大半が回答しました。参加した入札者からは「業界が20年先へと進歩したような気がしました」、「現場にいるのと同じような感覚でした。包括的なバーチャルツアーを用意いただきありがとうございました」などの感想が寄せられました。
Liberty UtilitiesのプロジェクトでMatterportの効果的利用に成功した同社は、この技術の活用を広げる方法をさらに検討しており、前述のWills氏は次のように意気込みを語ります。「今回のマイクログリッドは特にユニークな案件でしたが、それ以外にも活用方法はあるはずで、Liberty社の事業範囲のあらゆる場所で活用できると思います。マイクログリッドプロジェクトが終了したら、Matterportで再度プロジェクトをスキャンする予定です。同社が真に革新的なソリューションを創出していることを顧客にアピールする資料としては最高のものとなるでしょう」
Matterportを活用して建設プロジェクトを効率化する方法については、こちらをご覧ください
Burns & McDonnellについて
Burns& McDonnellは7,600人にも及ぶエンジニア、建設専門家、建築家、技術者、科学者の比類ないチームを擁する企業集団です。建築士と設計士の思考傾向を併せ持ち、総合的なサービスを全世界で提供しています。従業員が完全所有する1898年創業の伝統企業です。
本社
ミズーリ州カンザスシティ
業界
建築、エンジニアリング、建設(AEC)
従業員数
7,600名
製品
Matterport Captureアプリ、Leica BLK360
課題
長年の顧客である電力会社とカリフォルニア州での重要なマイクログリッドプロジェクトを円滑に進める
解決策
遠隔地にあるプロジェクトの現場をMatterport 3Dバーチャルツアーで見学できるようにすることで、新型コロナを受けて実施されたロックダウンによる1年間の遅れを回避しました
https://matterport.com/ja/industries/case-studies/burns